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山伏山の山頂にある須須神社奥宮の拝殿。石の灯籠(とうろう)も壊れてしまった=2025年2月2日午前9時13分、石川県珠洲市、上田真由美撮影

 此國(このくに)五十里のとまり北のはてにある高山也(なり)――。江戸時代の地誌「能登名跡志」にそう記された山伏山(184メートル、石川県珠洲市)は、能登半島の先端にある。古くから航海の目標となり、信仰の対象とされてきた。被災した能登半島地震後も頂へと訪れる人は絶えない。

 山伏山の中腹。地震で崩れて柱だけになった鳥居に今月2日朝、ふもとの集落の人たちが集まってきた。

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山伏山の中腹にある須須神社奥宮の「二の鳥居」。地震で柱だけになった=2025年2月2日午前9時27分、石川県珠洲市、上田真由美撮影

 ある人は登山用ストックを両手に持ち、ある人は拾った木の棒を杖代わりに、10人余りが落ち葉を踏みしめながらゆっくりと登っていく。アカガシなどの照葉樹林が生い茂る森を抜け、15分ほどで雪の残る山頂に着いた。

 こけむした木々の奥に、須須(すず)神社奥宮の拝殿がある。黒い能登瓦が陽光に輝くが、木造の建物はねじれるようにゆがんでいた。

 宮司や氏子たちが集まった理…

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